三河みりんと出会って、私の和食への思いが深くなった。
縁の下の力持ち?
ううん、ちょっと違うなぁ。
“縁の下で、やさしさを表現してくれる存在”。
そんなふうに思えたとき、気持ちがじんわり、ほっこりした。
日本食に欠かせないと言われる「みりん」。
でも正直、ずっとわからなかった。
お砂糖とお酒じゃダメなの?
みりんを入れても、そんなに変わらない気がするし……
個人的な好みとしては、むしろ入れないほうが・・・。
なんとなく「日本人だから一応持ってる」くらいの存在だった。
そんな私が、発酵食の講座で初めて知ったことがある。
昔のみりんは、
実は“甘味を含んだ高級酒”として飲まれていたということ。
こ…こんなの飲んでたの?
正直、思ってしまった。(申し訳ないけど)
「飲めたもんじゃないでしょ…」って(笑)

でも、知ってみたら全然違った。
私が今まで使っていたのは、
みりんではなく「みりん風調味料」だったということ。
「本みりん」と書かれていても、
よく見ると糖類や調味料で甘さを足しているものもあったりして、
「えっ、これも“本”って言うんだ…?」と驚くこともあります。
本物の本みりんは、
もち米・米麹・本格焼酎のみからつくられ、
一年以上、じっくりと熟成されていく。
アルコール度数は約14%。酒税法上では「お酒」。
一方、「みりん風調味料」は、酒ではなく調味料。
糖類や添加物で“みりんっぽく”整えられたもの。
三河みりんを使ってみたとき、
初めて「本味醂」の意味が、感覚としてわかった。
たしかに、煮崩れを防ぐとか、味がしみるとか、
料理の“機能”としての効果はある。
でも、それだけじゃない。もっと、なんだろう。。
旨みが増して、美味しいのはもちろん、
うまく言葉にできないけれど、
“ほっとする”
“ああ、ちゃんとしたものに守られてる”
そんな感覚に嬉しくなる。
味醂って、甘いだけじゃない。
控えめだけど、あたたかくて頼り甲斐があって
割烹着姿の祖母が、味見しながら「うん、いい味ね」って笑ってくれるような。
そんな、そっと支えてくれる存在が、味醂のような気がする。

本物の伝統的なみりんを製造しているメーカーは、今やほんの数社。
日本の伝統の味をつなげていきましょう。
また他の蔵の味醂についても、少しずつご紹介していきます。
「調味料」という言葉の向こうに、つくった人の時間や、守られてきた伝統がある。
そう思うだけで、日々の食事に感謝の気持ちも増しますね。

「三州三河みりん」は、もち米・米麹・本格焼酎だけを使い、1年以上じっくり熟成させて造られる、
本物の本味醂です。
蔵元の角谷文治郎商店さんは、明治43年(1910年)創業。2025年で115年になります。
今もなお、「本物を残していこう」という静かな志を大切に、丁寧なみりん造りを続けておられます。
使用するお米は、すべて国産。
公式サイトで見かけた、
「農家の方々が丹精込めて育てたお米をみりんにすることで、田園風景の保護と環境保全に
貢献して参ります。」
という言葉に、私は深く感動しました。
海外に住む今、日本のお米を口にする機会は減りましたが、
その分、一回一回の“ありがたさ”が、心に沁みます。
本当に、美味しくて、ありがたいものです。
そんな蔵元さんの姿勢にふれたとき、
私は「このみりんを、もっと多くの人に知ってほしい」と、自然と思いました。
本物のみりん、きっと試して損はありません。
それどころか、食卓の風景が、どこかやさしく変わるかもしれません。
詳しくは 角谷文治郎商店さんの公式サイト もぜひご覧ください。
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